珠算学習は細かなスモールステップで組み立てられていますが、級によっては、その段差が大きく感じられることもあるかと思います。
珠算では6級の÷2桁の計算、3級の定位法、暗算では1級の2桁×3桁のかけ算などが特に大きな壁となるようです。
珠算はやり方さえしっかりと覚えれば何とかなるのですが、暗算の桁を広げるには相応の訓練が必要です。
暗算は安定して計算ができるようになるまでは、足す位の間違いや足し算の間違いが交互に起きたりするために、いくらやっても正解にたどり着けない、
という状態に陥りがちです。そのような時にどういう姿勢で向き合うかが勝負の分かれ目です。
あきらめず、へこたれず、何度でも粘り強く挑戦し続ける以外に道はありません。しかし、努力してこの壁を乗り越えた時には得難い喜びを味わうことができます。
そして、このようなプロセスの体験は子どもたちにとって、かけがえのない財産になるものだと思います。
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壁を乗り越える
2024年7月8日
非認知能力
2024年6月10日
そろばん学習では計算力・集中力・忍耐力などが育まれると昔から言われています。
計算力は試験などを通じてその力を測ることができますが、集中力や忍耐力は数値化することができません。
このような、テストなどで数値化できない能力の事を非認知能力といい、目標を達成する力、他者と協働する力、情動を抑制する力といった、
学びに向かう力や人間性などの、生きていく上で欠かせない能力と位置づけられています。
これらの中の、目標を達成する力には、忍耐力=最後までやり抜く力、意欲=積極的に取り組もうとする力、自己制御=自分の行動をコントロールする力、
自己効力感=自分ならできると鼓舞する力、目標への情熱=目標に向かって集中する力、などが含まれます。
これらの力と従来からそろばん学習で育まれるとされてきた力とはほぼ完全に一致することからも、
そろばん学習は認知能力と非認知能力をバランス良く育てる習い事であるといえるのではないでしょうか。
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暗算力を育てよう
2024年5月7日
そろばん学習で得られる最大の成果は、頭の中でそろばんの珠のイメージを操作することで、高速かつ多桁の計算が可能になる、珠算式暗算の習得です。
当教室では、一通りの基礎学習が終わり、8級の練習に入る頃から暗算指導を始めていますが、まず、この最初の一歩が肝心です。
最初は簡単な計算ですが、誰もできません。しかし、我慢して素直に何度も繰り返すうちに、徐々に珠のイメージが形成され、少しずつ正解を得られるようになってきます。
この段階で、珠のイメージを動かすのではなく、途中で数字に置き換えたり、数えたりする習慣をつけてしまうと、珠算式暗算の能力が育たず、後で取り返しがつかない事になってしまいます。
また、暗算の精度には、そろばんでの指の使い方も影響していると感じています。
例えば、9+8の時に、基礎では、「2をとって10をたす」と2つのステップに分解した動きを教えていますが、これを勝手に、指をひねって1ステップのような動かし方をしていると、
暗算の時に、2をとるイメージが曖昧になり、誤算につながっているように思われます。
素直な心で、基礎に忠実に、ひたすらに練習を重ねること、それが暗算上達の最短距離だと思います。